新・三銃士

配役
🎤ナレーション:

🍷アトス:
🍖ポルトス:
✝️アラミス:

💄ミレディ:

参考時間 10分~15分


🎤

時は17世紀、イギリス

霧の街にひっそりと佇むロンドン塔に

宵闇に紛れて蠢く、4つの黒い影があった



🍷

(積み上がった衛兵を見下ろし)

「・・・ったく、手間のかかる

    骨のない衛兵達を倒すのは、つまらねぇ」



SE:ガチャッ(後頭部に拳銃を当てる音)



🍷

「・・・オイオイ

   たまにはもう少し可愛げのある出迎え方をして   

 くれよ、ミレディ」


💄

「貴方こそ、デートに遅れるのはやめて頂戴な

   ・・・腕が鈍ったんじゃないの?」


🍷

「お前こそ、俺を相手に油断したんじゃないのか?

   下、見てみろ」

(視線だけで下を向けと合図し)


💄

「・・・ナイフ!?

    いつの間に・・・」


(自分の腹に短刀が突きつけられているのを発見し、驚きつつも笑みを浮かべて)


🍷

「さあ、茶番は終わりだ

   銃を下ろせ」


💄

「うふふ、貴方もね」

(銃を下ろして向かい合い)

「会いたかったわ、ダーリン」


🍷

「俺もだ...が、キスは任務の後にしておこう

   ・・・それで?鍵は手に入ったのか?」


(短刀をしまい、ポケットから華奢な鍵を取り出して見せ)


SE:チャリン(鍵を取り出す音)


💄

「もちろん

   大臣ったら、ぐっすり」

(胸元から鍵を取り出し)


🍷

「あの堅物が?

    一体、どんな手を使ったんだ?」

(💄の腰を引き寄せて)


💄

「あなたったら、分かっているくせに聞くのね

   ヤキモチを焼くのは、野暮よ」



✝️

「あぁ、主(しゅ)よ、

   私はまた罪を犯してしまいました

   赦したまえ、...アーメン」

(鍵に口付けながら近づき)


🍖

「まぁ~た、言ってやがるぜ!

   アラミス、お前、昨晩も娼婦をひとり泣かせた

   らしいじゃねぇか

   神父が聞いて呆れるぜ!」

(鍵を投げたり掴んだりして笑い) 



SE:チャリーンチャリーン

(鍵を投げたり掴んだりする音)



🍷

「アラミス、ポルトス!

   無事で良かった」

(ミレディを離して2人に向き合い)


✝️

「アトス、君もね

   そして、マシェール、美しきマドモアゼル」

(ミレディの手の甲に口付けながら)


💄

「あら、誰かさんと違って紳士的ね」


🍷

「なんだとっ...」


🍖

「まぁまぁ!

   やっと全員揃ったんだし、鍵も手に入ったんだ

   からさ

   なっ?なっ?」

   (ミレディとアラミスを離しつつ)


🍷

「あ、あぁ...そうだな

   ついに、深窓の姫君とご対面だ

   ぐずぐずしている暇はない

   扉の四角に鍵を差し込め、一気に開けるぞ」


一同

「了解」

(全員で扉の四つ角にある鍵を同時に開け)



SE:ガチャッ、ゴゴゴ・・・

(鍵を開け、扉が開く音)



🍖

「すっげぇな、勝手に開いたぜ!

   楽勝だなっ

   おっ、獲物はあそこかぁ、邪魔するぜェ~」

(入ろうとし)


✝️

「お待ちなさいッ!」

(慌ててポルトスの首根っこを引っ張り)


🍖

「おわっ!な、なんだよ・・・?

   ん...?

   ひ、ひぇ!?」


(引っ張られた時に蹴った石が、部屋の中で粉々に切れ)



SE:ザンッシュシュシュッ

(物を切る音)



🍖

「ど、どうなってんだ!?

   何も見えねぇのに!」


💄

「あら、女の真実(ほんとう)を

   知りたければ、

   まずは女をよく知ることよ

   可愛い可愛いお姫様、

   お粉(おしろい)で化粧してあげるわ

   ふぅっ」

(胸元から白粉のコンパクトを取り出し、ふっ、息を吹きかけると、粉が光に反射し、部屋中に透明な鋼糸が縦横無尽に張られているのが現れ)



SE:キラキラキラキラ・・・

(白粉が光に反射する音)



🍖

「透明な・・・糸!?」


🍷

「こりゃまた、

   ・・・ずいぶんな警戒っぷりで」


✝️

「直に衛兵が交代する時間

   出入口に倒れた兵士がいたとなれば直ぐに気づ  

   かれます

   交代まで、あと2分

   この綿密な鋼糸を切るのは難しい

   アトス、どうしますか?」


🍷

「力技という訳にも行かないしな...」


💄

「どうするですって?

   これだから、優柔不断な男は駄目なのよ

   ふふっ、私に任せて」

(言うのと同時に走り出し、舞い踊るように身軽に糸の間をくぐり抜けて見せ)


「待ってなさい、お姫様!」


🍖

「ヒュー、あいっかわらずクレイジーだな!」


✝️

「あの鋼糸の中をいとも簡単にすり抜けた

   ・・・やはり、彼女、只者じゃありませんね」


🍷

「俺が唯一認めた女、だ」



💄

「ウフフ、やっと会えたわね

   ・・・幻の首飾りちゃん❤️」

(鋼糸の先にあった煌びやかな首飾りの宝石にキスをし、自分の首にかけて戻り)



✝️

「!?

   いけない、もう衛兵が来ます!」


🍷

「チッ、予定より早いじゃねぇか!

   出入り口はひとつしかねぇぞ」


🍖

「俺とアラミスで衛兵を抑えるから、

   アトスはミレディと一緒に逃げろ」


✝️

「後で追います、神のご加護を」


🍷

「わかった!

   ミレディ、行くぞ!」


💄

「えぇ!」



🎤

アトスとミレディは冷たい夜のロンドンを駆け抜けた

初めは着いて来ていた追手も、ロンドン橋の下にある秘密基地に着く頃には、闇に巻かれて消えていた



🍷

「はぁ、はぁ・・・

   ここなら見つからないだろう

   じきに2人も追ってくる」


💄

「そうね、あとはこの王妃の首飾りを

   彼の方に届けるだけ」

(自分の首にかけた首飾りを愛おしそうに撫で)


🍷

「なぁ、ミレディ

   お前はこの仕事が終わったら、

   どうするつもりだ?」


💄

「えぇ?何、急に...

   今まで通り、過ごすだけよ」


🍷

「お前、以前言っていただろ?

   出来れば、普通に暮らしたいって 

   結婚して、子供が欲しいって

   ...だったら、俺と」

  

💄

「しっ、それ以上は言わないで!

   アトス、愛してるわ」


🍷

「ミレディ・・・」

(キスをしようと顔を近づけ)


💄

「あん、待って!

   キスの前に、口紅だけ直させて・・・」

(真っ赤な口紅を引き直して)


🍷

「ったく、仕方ねぇな」


💄

「うふふ、いいわ・・・」


🍷

「ミレディ

   俺は、お前を愛してる」

(熱くキスをしてから、自分の唇を舐め)


🍷

「!?な、なんだ・・・!

   目眩・・・がっ・・・」

(膝から崩れ落ち)


💄

「睡眠薬入りのルージュの味はいかがかしら?

   キスで腰が砕けちゃうなんて、銃士が聞い呆

   るわぁ

   ねぇ、アトス

   私、貴方のことは愛していたけど、これはビジ 

   ネスなの

   だから、悪く思わないで頂戴ね」


🍷

「ま、て・・・ミレ・・・」

(薄れる視界の中で、見たこともない飛行機械に乗った男が現れたのを見て)



SE:バタバタバタバタ

(ヘリコプターの翼の音)



💄

「愛してるわ、アトス!

   二度と会いたくないけどね

   アデュー」

(鮮やかなルージュを引いた唇で投げキッスをして、白い肌に際立つ豪華な首飾りを煌めかせながら去っていく)



🍷

「っぐ...ぁ...」

(意識をなくす)




🎤

かくして、稀代の悪女と謳われたミレディと

三銃士の間に深い因縁が生まれた

実はこの王妃の首飾り、王妃の不倫の証拠だったんだなぁ

間も無くして、この歴史的失敗が引き金となり、王妃直属だった王下銃士隊は解散、三銃士も行方知れずとなってしまった

ミレディはこの首飾りを、王妃と対立していた権力者のリシュリュー枢機卿に譲渡

そのスパイの腕を買われ、リシュリューの1番の配下となった

対立するマリー王妃とリシュリュー枢機卿

揺れ動くルイ14世

欲望渦巻く宮廷に、銃士隊に憧れるダルタニアンがやってくるのは、もう少し先の話である