🎤
時は17世紀、イギリス
霧の街にひっそりと佇むロンドン塔に
宵闇に紛れて蠢く、4つの黒い影があった
🍷
(積み上がった衛兵を見下ろし)
「・・・ったく、手間のかかる
骨のない衛兵達を倒すのは、つまらねぇ」
SE:ガチャッ(後頭部に拳銃を当てる音)
🍷
「・・・オイオイ
たまにはもう少し可愛げのある出迎え方をして
くれよ、ミレディ」
💄
「貴方こそ、デートに遅れるのはやめて頂戴な
・・・腕が鈍ったんじゃないの?」
🍷
「お前こそ、俺を相手に油断したんじゃないのか?
下、見てみろ」
(視線だけで下を向けと合図し)
💄
「・・・ナイフ!?
いつの間に・・・」
(自分の腹に短刀が突きつけられているのを発見し、驚きつつも笑みを浮かべて)
🍷
「さあ、茶番は終わりだ
銃を下ろせ」
💄
「うふふ、貴方もね」
(銃を下ろして向かい合い)
「会いたかったわ、ダーリン」
🍷
「俺もだ...が、キスは任務の後にしておこう
・・・それで?鍵は手に入ったのか?」
(短刀をしまい、ポケットから華奢な鍵を取り出して見せ)
SE:チャリン(鍵を取り出す音)
💄
「もちろん
大臣ったら、ぐっすり」
(胸元から鍵を取り出し)
🍷
「あの堅物が?
一体、どんな手を使ったんだ?」
(💄の腰を引き寄せて)
💄
「あなたったら、分かっているくせに聞くのね
ヤキモチを焼くのは、野暮よ」
✝️
「あぁ、主(しゅ)よ、
私はまた罪を犯してしまいました
赦したまえ、...アーメン」
(鍵に口付けながら近づき)
🍖
「まぁ~た、言ってやがるぜ!
アラミス、お前、昨晩も娼婦をひとり泣かせた
らしいじゃねぇか
神父が聞いて呆れるぜ!」
(鍵を投げたり掴んだりして笑い)
SE:チャリーンチャリーン
(鍵を投げたり掴んだりする音)
🍷
「アラミス、ポルトス!
無事で良かった」
(ミレディを離して2人に向き合い)
✝️
「アトス、君もね
そして、マシェール、美しきマドモアゼル」
(ミレディの手の甲に口付けながら)
💄
「あら、誰かさんと違って紳士的ね」
🍷
「なんだとっ...」
🍖
「まぁまぁ!
やっと全員揃ったんだし、鍵も手に入ったんだ
からさ
なっ?なっ?」
(ミレディとアラミスを離しつつ)
🍷
「あ、あぁ...そうだな
ついに、深窓の姫君とご対面だ
ぐずぐずしている暇はない
扉の四角に鍵を差し込め、一気に開けるぞ」
一同
「了解」
(全員で扉の四つ角にある鍵を同時に開け)
SE:ガチャッ、ゴゴゴ・・・
(鍵を開け、扉が開く音)
🍖
「すっげぇな、勝手に開いたぜ!
楽勝だなっ
おっ、獲物はあそこかぁ、邪魔するぜェ~」
(入ろうとし)
✝️
「お待ちなさいッ!」
(慌ててポルトスの首根っこを引っ張り)
🍖
「おわっ!な、なんだよ・・・?
ん...?
ひ、ひぇ!?」
(引っ張られた時に蹴った石が、部屋の中で粉々に切れ)
SE:ザンッシュシュシュッ
(物を切る音)
🍖
「ど、どうなってんだ!?
何も見えねぇのに!」
💄
「あら、女の真実(ほんとう)を
知りたければ、
まずは女をよく知ることよ
可愛い可愛いお姫様、
お粉(おしろい)で化粧してあげるわ
ふぅっ」
(胸元から白粉のコンパクトを取り出し、ふっ、息を吹きかけると、粉が光に反射し、部屋中に透明な鋼糸が縦横無尽に張られているのが現れ)
SE:キラキラキラキラ・・・
(白粉が光に反射する音)
🍖
「透明な・・・糸!?」
🍷
「こりゃまた、
・・・ずいぶんな警戒っぷりで」
✝️
「直に衛兵が交代する時間
出入口に倒れた兵士がいたとなれば直ぐに気づ
かれます
交代まで、あと2分
この綿密な鋼糸を切るのは難しい
アトス、どうしますか?」
🍷
「力技という訳にも行かないしな...」
💄
「どうするですって?
これだから、優柔不断な男は駄目なのよ
ふふっ、私に任せて」
(言うのと同時に走り出し、舞い踊るように身軽に糸の間をくぐり抜けて見せ)
「待ってなさい、お姫様!」
🍖
「ヒュー、あいっかわらずクレイジーだな!」
✝️
「あの鋼糸の中をいとも簡単にすり抜けた
・・・やはり、彼女、只者じゃありませんね」
🍷
「俺が唯一認めた女、だ」
💄
「ウフフ、やっと会えたわね
・・・幻の首飾りちゃん❤️」
(鋼糸の先にあった煌びやかな首飾りの宝石にキスをし、自分の首にかけて戻り)
✝️
「!?
いけない、もう衛兵が来ます!」
🍷
「チッ、予定より早いじゃねぇか!
出入り口はひとつしかねぇぞ」
🍖
「俺とアラミスで衛兵を抑えるから、
アトスはミレディと一緒に逃げろ」
✝️
「後で追います、神のご加護を」
🍷
「わかった!
ミレディ、行くぞ!」
💄
「えぇ!」
🎤
アトスとミレディは冷たい夜のロンドンを駆け抜けた
初めは着いて来ていた追手も、ロンドン橋の下にある秘密基地に着く頃には、闇に巻かれて消えていた
🍷
「はぁ、はぁ・・・
ここなら見つからないだろう
じきに2人も追ってくる」
💄
「そうね、あとはこの王妃の首飾りを
彼の方に届けるだけ」
(自分の首にかけた首飾りを愛おしそうに撫で)
🍷
「なぁ、ミレディ
お前はこの仕事が終わったら、
どうするつもりだ?」
💄
「えぇ?何、急に...
今まで通り、過ごすだけよ」
🍷
「お前、以前言っていただろ?
出来れば、普通に暮らしたいって
結婚して、子供が欲しいって
...だったら、俺と」
💄
「しっ、それ以上は言わないで!
アトス、愛してるわ」
🍷
「ミレディ・・・」
(キスをしようと顔を近づけ)
💄
「あん、待って!
キスの前に、口紅だけ直させて・・・」
(真っ赤な口紅を引き直して)
🍷
「ったく、仕方ねぇな」
💄
「うふふ、いいわ・・・」
🍷
「ミレディ
俺は、お前を愛してる」
(熱くキスをしてから、自分の唇を舐め)
🍷
「!?な、なんだ・・・!
目眩・・・がっ・・・」
(膝から崩れ落ち)
💄
「睡眠薬入りのルージュの味はいかがかしら?
キスで腰が砕けちゃうなんて、銃士が聞い呆れ
るわぁ
ねぇ、アトス
私、貴方のことは愛していたけど、これはビジ
ネスなの
だから、悪く思わないで頂戴ね」
🍷
「ま、て・・・ミレ・・・」
(薄れる視界の中で、見たこともない飛行機械に乗った男が現れたのを見て)
SE:バタバタバタバタ
(ヘリコプターの翼の音)
💄
「愛してるわ、アトス!
二度と会いたくないけどね
アデュー」
(鮮やかなルージュを引いた唇で投げキッスをして、白い肌に際立つ豪華な首飾りを煌めかせながら去っていく)
🍷
「っぐ...ぁ...」
(意識をなくす)
🎤
かくして、稀代の悪女と謳われたミレディと
三銃士の間に深い因縁が生まれた
実はこの王妃の首飾り、王妃の不倫の証拠だったんだなぁ
間も無くして、この歴史的失敗が引き金となり、王妃直属だった王下銃士隊は解散、三銃士も行方知れずとなってしまった
ミレディはこの首飾りを、王妃と対立していた権力者のリシュリュー枢機卿に譲渡
そのスパイの腕を買われ、リシュリューの1番の配下となった
対立するマリー王妃とリシュリュー枢機卿
揺れ動くルイ14世
欲望渦巻く宮廷に、銃士隊に憧れるダルタニアンがやってくるのは、もう少し先の話である
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